あと10年で遊郭建築は消える…。


先日、以下の発言をしました。


多くの方にRetweet、Favoriteして戴いたようなのですが、多くの反応を戴いたポイントとしては、以下と認識しています。

・10年で多くが消滅する
・(結果、私達が目にすることのできる最後の時代である)

10年という年月が、「あと10年」なのか「まだ10年」なのかについては、人それぞれかと思いますが、「10年後に産まれる世代は知り得ない」と言い替えることできるならば、のっぴきならない状況と言えます。

■そもそも、なぜ10年なのか?

「10年」との期間を用いましたが、では、そもそもなぜ「10年」なのか?について、掘り下げてみたいと思います。

近年、取り壊される妓楼・赤線建築(以下、遊郭建築)の多さから、肌感覚として区切りのよい「10年」という数字を用いた点も多分にあるのですが、それを言ってしまうと身も蓋もないので、もう少し裏付けを取って見ましょう。

■遊郭建築の寿命とは?

まず、取り壊される原因は何でしょうか?様々な理由が想定できますが、最たる理由はいわゆる「代変わり」です。

妓楼を訪ねると殆どの場合、ご高齢の方がお住まいになっています。更地化されて駐車場になる、或いは新築が建つ理由の多くは、この方たちが亡くなった場合が多いです。お亡くなりにならずとも、介護の必要性が出て、それまでの不便な設備を直すための、改築/新築も当然考えられるでしょう。要するに事実上の代変わりですね。

いずれにせよ、建築物の寿命は「ボロくなったから取り壊される」といった建築耐久性の如何ではなく家主の寿命と密接に紐付いているという訳です。

■赤線を知る最後の世代とは?

1958年(昭和33年)、売春防止法が罰則規定を含めて完全施行されました。それまで売春が黙認されてきた、いわゆる赤線も消滅します。
赤線を知る世代は今、何歳になっているのでしょうか?

2013年 – 1958年 = 55年間

ということで当時、成人(20歳)だった人は、2013年現在、75歳になっている計算です。

■2つの余命

先に「建築の寿命≒家主の寿命」と述べました。

ということは、建築の余命を推し量るには、(きわめて酷い言い方ですが)現在75歳の人が「あと何年生きるのか?」、つまり余命を算出する必要があります。家主の余命がとりもなおさず、建築の余命であるからです。

厚生労働省が2013年に発表したデータを用います。(データの内容は2012年のもの)

それによれば、2012年現在75歳の人は余命
・男:11年
・女:16年
と期待されています。

つまり
・男:86歳
・女:91歳
で死亡する確率が最も大きいのです。

■あと10年…

今までの情報を下記の図にまとめました。
濃赤の矢印にご注目ください。
20131022175634

遊郭建築の余命=家主の余命」と仮定するならば、この赤い矢印が遊郭建築の余命期間になるのです。
男女で差がありますが、いずれにせよ約10数年間ということになります。

ここで一番、気を付けなければならないことは、
男:86歳
女:91歳
で死亡する確率もっとも高く、必然的に前後の確立も高まっていくので、
間違っても「きっかり11年後(16年後)に遊郭建築が消滅する」という意味ではありません
(基準に取った1958年時に20歳という仮定にも、本来、幅がありますので、なおさらです。)

つまり、ここ10年に渡って、遊郭建築が消滅していくスピードが加速していく、ということになります。
繰り返しますが、「あと10年間は保たれる」のではなく「今後10年間で急速に消滅していく」のです。

「あと10年で遊郭建築は消える…。」への6件のフィードバック

  1. 少し前から興味深く読ませていただいてます。タイムリーでちょっと驚きましたが、鳩の街「OFF LIMIT」とり壊されるようです。今日たまたま前を通ったら、貼り紙がありました。取り壊し期間は確か10/22~1ヶ月位だったと思います。すでにご存知でしたら、出すぎたまねをお許しください。

    1. こんにちは。本日、見てきました。取り壊しが始まっていました。
      教えていただけなければ見逃していたところでした。心から感謝いたします。また、お返事が遅れてしまい失礼をお許しください。
      この物件から北側のアパートも取り壊されていました。建築計画には10/1からと記載があったので近しいタイミングでした。。。
      上手く表現できませんが、見届けたいと思います。

  2. お知らせできてよかった…の一言につきます。私は少し横道にそれて、正面から見る玄関が好きでした。

    これはもしや?と見ていた物件とたぶん同じだと思いますが、北側のアパートは7月下旬に取り壊しが決まってました。あまりにもひっそりとそこにいたので、時が止まったような感じがしました。

    遊郭部さま!
    「墨東キネマ」のサイトをぜひとも見ていただきたいです。映像作品記録や墨東の猫の写真などなど素敵です。

  3. こんばんは!エンドレスな書き込みをして大変申し訳ありません。。OFF LIMITS跡にも猫きてました。まだキャタピラーがある時、よじ登ってイスに座ってましたよ(笑)

    これって青線だったのかなー?と思う場所があるのですが、遊郭部さまに聞いていただけたらなぁと思ってます(ステンドグラス、タイル物件など)具体的な所在地を書き込んでも大丈夫なんでしょうか?ご連絡いただけたら嬉しいです。よろしくお願い致します。

    1. 是非是非教えてください~。後からコメントを編集することもできますのでお気軽に。

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