渡辺寛『完全版・全国女性街ガイド』(昭和30年)復刻のお知らせ


戦後の仇花、〝酌婦〟〝パンパン〟〝枕芸者〟…

戦後10年目の昭和30年、〝売春地帯〟をルポした唯一無二のガイドブックが刊行されました。渡辺寛 著『全国女性街ガイド』です。今回、赤線現役時代の唯一無二の資料とも言える『全国女性街ガイド』(復刻発行:カストリ出版)を復刻しました。

復刻版

売春防止法以前の売春黙認地域、〝赤線〟のみならず、ガード下にうごめく〝パンパン・ガール〟、スナック裏稼業〝青線〟、風待ち港の伝統売春〝おちょろ舟〟、歓楽温泉街の〝お泊り女中〟など、戦後日本に存在した約353箇所の女性街ルポを完全収録しました。

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発行から60年近く経った貴重書ゆえに、古本市場に出回ることもほとんど無く、仮に入荷した場合、数万円の値が付くことも珍しくありませんでした。これまでごく限られた一部の好事家にしか知り得なかった内容でしたが、今回、復刻するに至りました。
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現在でも入手しやすい木村聡著『赤線跡を歩く【完結編】続々・消えゆく夢の街を訪ねて 』にも『全国女性街ガイド』が再録されていますが、こちらは文字数や収録地域がカットされたコンパクト版です。今回の復刻は、原著を底本とした完全な復刻として仕上がっているだけでなく、『赤線跡を歩く』シリーズの著者でもあり、現代の〝赤線〟研究の第一人者 木村聡氏にご協力頂き、超ロングインタビューを掲載しました。およそ半世紀を経て同じ女性街を歩いた木村氏の目にはどう映ったのか、メディアに登場することの少ない木村氏の口から語っていただきました。
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赤線が現役だった時代の唯一無二の史料 2倍の情報量

『赤線跡を歩く3』に再録されているコンパクト版は、元々『旅行の手帖 No.20』および『旅行の手帖 No.23』に収録されたものでした。その収録地域数は約280箇所、文字数や約6万字。これに対し今回復刻した完全版『全国女性街ガイド』は、地域数381箇所、文字数は約12万字と圧倒的な情報量を含んでいます。
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復刻付録1:赤線の第一人者、木村聡氏への採り下ろしインタビュー

『赤線跡を歩く』シリーズでも知られる現代赤線研究の第一人者、木村聡氏にインタビュー。これまで語られることのなかった木村氏による赤線調査への軌跡や、木村氏が語る渡辺寛の人物像など、興味深い内容です。今回の復刻にあたってこれ以上ないインタビューとなりました。
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・木村氏と赤線とのファーストコンタクト
・『赤線跡を歩く』はどのようにして生まれたのか?
・当時、情報が皆無だった赤線調査
・サブカルチャーの黎明と赤線再評価の関係
・木村氏が歩いた当時の旧赤線の雰囲気とは?
・木村氏が推理する渡辺寛の素顔
etc…

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半世紀を経て女性街を歩いた二人の男が邂逅を果たす…。全文約1万字の超ロングインタビュー。

復刻付録2:女体風土記

『全国女性街ガイド』の著者、渡辺寛氏は僅かしかその著作が残されておらず、多くの謎に包まれています。その渡辺氏による女性街短編ルポ『女体風土記~東北地方の巻~』も併せて復刻。東北の酒、東北の雪、東北の女…。赤線が現役だったころの世相、渡辺氏の世界観に触れることのできる色街エッセイ。

復刻付録3:芥川賞・予選候補作家だった渡辺氏

著者、渡辺寛氏は女性街といった現代でいうならばアングラ系ライターであったのと同時に、若かりし頃はプロレタリア文学作品を残した青年作家でもありました。渡辺氏が若干22歳の時に選考に挙がり、芥川賞予選候補作となった作品、『詫びる』(昭和10年)も復刻。女性街のイメージとはかけ離れた労働者の視点から捉えた文学作品。渡辺氏のもう一つの側面を窺い知ることのできる史料です。

・渡辺 寛 著(渡辺 豪 編・解説)
・発行:カストリ出版
・仕様:A5変形(148×192) / 226ページ / 並製 / モノクロ
・定価:本体 5,000円 + 税
・発売日:2014年11月

正誤表

「時代を超え女性街を歩いた二人の男 〜渡辺寛・木村聡〜」にて以下の訂正がありました。誠に申し訳ございません。

P191
誤:税収として無視できない額だったことは間違いないと籠もって《記:注意》ころです。
正:税収として無視できない額だったことは間違いないところです。

「渡辺寛『完全版・全国女性街ガイド』(昭和30年)復刻のお知らせ」への1件のフィードバック

  1. 女性街ガイド良いですね。
    これで、長かった古書店巡りに、
    終止符が打たれました。

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