紀行文:兵庫県篠山・京口新地遊郭跡を歩く


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遊郭跡はバス路線の終点の、そのまた先にあった。

堀が割られており、その堀に沿って歩く。途中、堀が二叉になる。
確信はなかったが、区割りの上手(かみて) に向かうため右折した。

それらしい建築が表れたのは唐突だった。

写真で見た通りなので既視感は拭えないが、それでも田園の集落の中に妓楼が表れた時は、素直に驚いていた。

割れたガラスから中を写すとエメラルドグリーンの湯船が映った。 プラスチックのコックがあり、それなりに最近まで住んでいたのかもしれない。

他の建築も見てみる。
町内集会所なのだが、アーチのある入口はそれが元妓楼であり、再利用であることは間違いない。

よく見れば、目抜き通りに対して、石造りの柵があったらしく、等間隔に丸い跡が地面に続いている。

コンクリートのモダンな妓楼も幸い残っていた。 真鍮の手すり。うだつ。バルコニー。痛んではいるが、ここまで状態の良い妓楼を見る機会は今まで無かった。壁の塗り分けがはっきり分かる。

ドアの板ガラスから中を覗くと、歪んだ視界ながらも、ビロードのカーテン、斜めに取り付けられた鏡、階段が見えた。住人はいないものの、定期的に所有者が手入れしているらしい。

区画を一通り回ってみる。

角は市営住宅と思われる平屋が12,3棟。狭い土地に敷き詰められていた。
その先に、扁平な三角形の土地は使い様がなかったと見えて、取ってつけた様な児童遊具公園があった。

座面の狭いブランコ。
鉄棒。
滑り台。

すべてが錆び付いていた。
背の高い草が生えていた。

帰ろう。

老人しかいない土地に錆びた児童遊具公園がある。
この土地の血も肉も錆びている。

おわり。
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